亜鉛(ZINC)はハゲの対策に有効だという意見と、逆にハゲを促進させるという否定的な意見があり、ネットでは賛否両論となっています。

髪の毛の育毛、発毛に関しては現代の医療の研究ではまだまだ不明瞭な部分が多くあります。

ハゲは生命に関わる訳ではないため、各国の研究所がこぞって研究している訳ではないというのも理由の1つかもしれません。

研究所が上げる実験論文が、ある1社だけの独占的な研究結果だったりした場合、どうしても信憑性は低くなります。

亜鉛と5-αリダクターゼの関係性、つまり亜鉛とハゲの関係性に関する実験データも少なく、実験内容がきちんとしたものでないため、どうしても賛否両論になってしまうのです。

亜鉛は髪の毛の生成に欠かせない成分

亜鉛は育毛の促進に有効だと言われている理由は亜鉛が髪の毛を作る上で重要な成分だからです。

髪の毛の90%はケラチンというタンパク質で出来ています。

タンパク質は一度アミノ酸に分解され、そのアミノ酸がケラチンになるのですが、その際に亜鉛が必要なのです。

亜鉛が不足すると、髪の毛にハリやコシもなくなり、元気がなくなります。

逆に言うと、亜鉛が不足している人は、髪の毛の生成がしにくくなるという事です。

ですので育毛、発毛に亜鉛は欠かせない存在である事は確かです。

5-αリダクターゼ抑制の賛否両論説

ハゲの主な原因はジヒドロテストステロン(DHT)ですが、この生成に大きく関わるのが5-αリダクターゼという酵素です。

男性ホルモンであるテストステロンが5-αリダクターゼと結合すると、ジヒドロテストステロンが生成されます。

詳細はこちらの記事をご覧下さい→性欲が強いとハゲる?薄毛の原因は男性ホルモン?

 

亜鉛はこの5-αリダクターゼという酵素の働きを抑制すると一部で言われています。

その要因となる研究データがあります。それが1988年にフランスで発表された論文です。

Inhibition of 5 alpha-reductase activity in human skin by zinc and azelaic acid.

(亜鉛およびアゼライン酸によるヒト皮膚における5α-レダクターゼ活性の阻害)

この中で

3または9mmol / lの濃度で添加した場合、亜鉛は5α-レダクターゼ活性の強力な阻害剤であった。
高濃度では、亜鉛は酵素活性を完全に阻害することができた。

とあります。

しかしこの実験は、亜鉛を高濃度で添加しており、現実的ではないという意見もあります。

実際に人体に適量に摂取された時の数値ではないということです。

亜鉛が育毛に逆効果説

逆に亜鉛が不足した食事を与え続けたラットと、亜鉛を与え続けたラットを比較したら、亜鉛を与えなかったラットの方がDHTの数値が低かったという実験もあります。

Dietary zinc deficiency alters 5 alpha-reduction and aromatization of testosterone and androgen and estrogen receptors in rat liver.

 

また、なかなか子供ができない不妊の男性22人に亜鉛を摂取させ続けたところ、6か月目までで9人の男性に子供ができた

この時の血中のテストステロンとDHTの数値はともに上昇していた。

という実験データもあります。

Effect of zinc administration on plasma testosterone, dihydrotestosterone, and sperm count.

男性ホルモンと、ハゲの原因であるDHTが増えていたというわけです。

精子の生成にも亜鉛は重要な栄養素です。

亜鉛は男性ホルモンに大きく関わっている事がわかります。

実験データから分かる事

最初の「亜鉛は5-αリダクターゼの働きを抑制する」という研究は、亜鉛の濃度が致死量にも達する高濃度という事もあり、どうしても信憑性に欠けてしまいます。

亜鉛には毒性があるため、高濃度すぎた事によって、5-αリダクターゼの活性をストップさせたのではないかという憶測もできます。

また、もっと多数の「亜鉛が5-αリダクターゼの活性を阻害する」という実験論文があればいいのですが、研究数が少なすぎる気もします。

 

そもそも亜鉛は男性ホルモンにも大きく関わっている事から、亜鉛が男性ホルモンであるテストステロンの数値を上昇させたとする「亜鉛は育毛に逆効果説」とする2つの実験の方が信憑性が高いと思われます。

 

つまり亜鉛を摂取すると、男性ホルモンであるテストステロンは増えるということです。

テストステロンが増えれば、5-αリダクターゼと結合する数が増え、DHTも増えるのではないかという事なのです。

そもそも一筋縄にいかないテストステロンと5-αリダクターゼの関係

男性ホルモンであるテストステロンが増えたら、ハゲの親玉ジヒドロテストステロンも増えるのかと言うと、必ずしもそういう訳ではありません。

男性は若い頃の方が男性ホルモンが多く、歳を取るにつれ減少します。

しかしハゲは歳を取るほど増加します。

ですからハゲてしまった人は、テストステロンを多少は増やした方が育毛に有用なのです。

詳しくはこちらの記事→性欲が強いとハゲる?薄毛の原因は男性ホルモン?

 

つまり男性ホルモンが多ければ多いほどハゲるという事は一概に言えないのです。

男性ホルモンが多く、毛深い人でも髪の毛がフサフサな人はたくさんいます。

詳しくはこちらの記事→毛深い男はハゲるは本当か?都市伝説なのか?

 

だから亜鉛を取ったら男性ホルモンが増えて、ハゲが進行てしまう!なんて思わない方がいいのです。

結局ハゲは亜鉛を取った方がいいの?取らない方がいいの?

物事にはなんでもバランスというものがあります。

このハゲ治療に関しても、本当に様々な要因が密接に絡み合っています。

遺伝、体質、栄養、運動、ストレス、生活習慣などなど、すべてにおいて一概に言えないのです。

亜鉛というのはそもそもハゲにとってだけでなく、人間にとって必要な必須ミネラルの1つです。

ですが摂り過ぎると弊害も生じます。

ですから、ハゲていようがなかろうが、ある程度の摂取をしなければ身体によくないのは当然なのです。

また、一番最初に書いた通り、亜鉛は髪の毛の生成に必須の成分なのです。

亜鉛は適量に摂取する事が、ハゲにとってもハゲてない人にとっても一番なのだと思います。

ちなみに私は亜鉛(ZINC)のサプリメントは摂っていません。その理由は後述します。

日本人は亜鉛が不足している

食生活が乱れている人や、コンビニ弁当など加工食品ばかり食べている人、ダイエットをしている人、菜食中心の食生活の人などは亜鉛が不足していると言われています。

厚生労働省が推奨する亜鉛の1日あたりの摂取量は、成人男性で1日10mg、成人女性で1日8mgと定めています。

亜鉛は人体に約2g程度しか含まれていませんが、酵素活性にとても重要なミネラルなのです。

また、アルコールを分解する際にも亜鉛が必要です。

お酒を飲む人は亜鉛不足になりやすいので注意しましょう。

亜鉛は主に骨や肝臓、腎臓、筋肉、前立腺などに含有しています。

亜鉛は体内で生成する事はできませんので、食事などから摂取するしかないのです。

亜鉛が不足すると「亜鉛欠乏症」となり、さまざまな身体の不調の原因にもなります。

味覚障害

亜鉛が不足すると、舌の味を感じ伝える器官「味蕾」の新陳代謝を妨げ、味覚障害になると言われています。

味蕾は約4週間の早いサイクルで細胞分裂し新陳代謝を繰り返します。

味覚障害になるのは高齢者が多く、何を食べてもあまり味がしない、しょっぱい、苦いなどという症状がみられます。

生殖機能の低下

先述したとおり、亜鉛は男性ホルモンに大きくかかわっています。

亜鉛を取る事で精子にテストステロンが増え、不妊で悩む男性にも子供が出来やすくなったと言う研究があるほどです。

Effect of zinc administration on plasma testosterone, dihydrotestosterone, and sperm count.

逆に亜鉛が不足すると、ED(勃起不全)になる可能性もあるのです。

亜鉛は「セックスミネラル」とも呼ばれるほどで、精力増強剤などで亜鉛が多く含まれる牡蠣を使った「牡蠣エキス」などをよく見るのも納得です。

肌・爪の異常

栄養素が足りなくなると、生命の維持に関わらない部分から症状が出ます。

これは爪・肌・髪の毛などに顕著にみられます。

肌の乾燥、湿疹などの他に、爪が凸凹したり割れやすくなったりする症状がみられます。

脱毛

上記と同じく髪の毛にも影響がでます。抜け毛が増えたり、髪が細くハリやコシがなくなります。

亜鉛は皮膚や爪、髪の毛の生成にも関わっているのです。

成長障害

子供の成長が遅く、背が伸びないで悩んでいた子が、亜鉛不足だとわかり亜鉛を摂取するようになって身長が伸びていったという実例もあります。

亜鉛は細胞分裂や細胞増殖にも不可欠で、体内の300種類近くの酵素の組成に関わっていると言われています。

子供の成長には、亜鉛も重要な要素の1つなのです。

他にも免疫機能の低下や骨粗しょう症、貧血など、亜鉛が不足することで起きる症状は多数あります。

亜鉛が多く含まれる食品(100gあたり)

亜鉛はあらゆる細胞に含有しているため、亜鉛を多く含む食品は主に肉類や魚介類、穀類に多くみられます。

牡蠣 13.2mg

亜鉛を多く含む食品の第1位が牡蠣です。100gあたり13.2mgの含有量です。

牡蠣は「海のミルク」と呼ばれるほど栄養素が豊富で、亜鉛に関しては、80g(3~4個)食べれば一日の推奨摂取量に達します。

逆に食べ過ぎは亜鉛の過剰摂取になりよくありません。

牛肉 3~5mg

牛肉の部位によって若干異なりますが、牛肉にも亜鉛が多く含まれています。

豚レバー 6.9mg

卵黄 4.2mg

煮干し 7.2mg

納豆 1.9mg

大豆 3.2mg

ご飯(精白米) 0.6mg

たたみいわし 6.6mg

うなぎ 2.7mg

パルメザンチーズ 7.3mg

その他多くの肉類、魚介類、穀類に微量ながら含まれており、バランスの良い食事を摂ればさほど不足にはならないかと思います。

亜鉛の副作用

亜鉛は過剰摂取すると、急性中毒を起こし、吐き気、めまい、頭痛、胃痙攣、下痢、嘔吐、腎臓障害、脱毛、神経障害といった症状がみられる場合があります。

また、過剰に摂取することで銅が欠乏してしまうと言われています。

厚生労働省は亜鉛の耐容上限量を成人男性で1日40~45mg、成人女性で1日35mgとしており、これ以上の摂取は逆に健康に被害が出てしまう可能性があるのです。

亜鉛は普段の食事がきちんとしていれば、そんなに不足する事もないため、無理して育毛のために亜鉛サプリなどを摂取する必要もないのかと思います。

私が亜鉛サプリを摂取しない理由

ハゲに効くと言われていたり、逆に効かないと言われている亜鉛。

ハゲを気にする私は亜鉛サプリは飲んでいません。

その理由はを上げます。

1.亜鉛がハゲを改善させるという因果関係がいまだにわかっていない

亜鉛は髪の生成に関わっているのは確かです。

ですが、過剰に摂り過ぎるとかえって男性ホルモンを増加させすぎたり健康被害に及ぶ可能性もあります。

だったらわざわざ飲む必要もないような気もします。

2.亜鉛は食事から摂れる

現代人は亜鉛不足と言われていますが、実はそこまで不足していません

厚生労働省の調査では、成人男性の推奨摂取量が1日10mgに対し、平均摂取量は8.8mg。成人女性は推奨が8mgに対して平均摂取量は7.8mgと、わずかに不足している程度です。

しかもこれは平均値であるため、肉が大好きな私は恐らく推奨量の摂取は出来ているのではないかと・・・。

 

もし足りていなかったとしてもわずかであり、そこにさらにサプリで10mgとか摂っていたらあきらかに過剰摂取になります

逆にそれは危険な気がするため、亜鉛サプリは摂っていないのです。

3.亜鉛を摂り過ぎて吐き気がした

子供の頃、牡蠣フライが夕飯に出て、大量に食べました。

その夜中吐き気で目が覚め、トイレで吐いたのを覚えています。

それ以来牡蠣が苦手になりました。

これは牡蠣に当たったのではなく、亜鉛の過剰摂取によるものだと大人になってからわかりました。

 

また、実はハゲ対策として亜鉛(ZINC)のサプリを摂取したこともあります。

しかし、飲むとなぜか吐き気がして、それでも無理して飲んでいたのですが、やはり無理で大量に捨ててしまった過去があります。

 

以上の理由から私は亜鉛サプリは飲まないようにしています。

その代わり肉をたくさん食べたり、たまに牡蠣を食べたり、焼き鳥を買う時は豚レバーを必ず食べたりと、食事に気を使っています。

 

しかしベジタリアンの方や、偏った食生活で亜鉛が不足していると思われている方、ダイエットをしていてあまり食事を摂らない方は亜鉛サプリなどで亜鉛を補うのは一つの手段かもしれません。

 

みなさんもハゲを治そうと意気込んで亜鉛サプリを摂り過ぎ、逆効果にならないように注意してください!